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ロシアと芸術について

 私が初めてロシアを訪れたのは、今から約25年前になります。当時姉夫婦が
モスクワにずっと住んでいたこともあり遊びに行く機会がありました。私の会社の友人2人を引き連れて、お盆休みを利用して行きました。
当時、会社に入ったばかりの娘3人がロシアに行くという事実に周りからも
ビックリされた記憶があります。
思い切った行動をしましたが、今では本当に行って良かったなと思っています。
それから何回か遊びに行く機会がありました。とはいえ、ロシアの断片しか見れてないかもしれませんが魅力を少しでもお伝えできればと思います。

 夏のモスクワは気温も高く、白夜で夜になっても煌々と明るく、飲食店も
やっているので、時間を忘れて観光できました。夜は姉夫婦のマンションに泊まり、3人の来客があっても部屋が余る程広く、専属運転手やハウスキーパーまで
いた生活に驚きです。やはり治安面の考慮もあったようですが憧れました。
マンションは全館クーラーと暖房が管理されていて、冬に遊びに行った時は、
Tシャツで過ごさないと暑くて、でも外に出るとドカ雪のマイナスです。なかなか不思議な感覚です。
私の一旅行者目線で気づいたこと、素晴らしかったなと思うことをこれからご紹介していきたいと思います。

 やはり、最初に行ったルートがとても印象に残っているのですが、義兄が専属の女性のロシア人ガイドさんをを付けてくれて、もちろん日本語も流暢で、なぜかベンツのワゴン車でこれまた専属運転手付で優雅に観光名所を周りました。
モスクワで有名な赤の広場は本当に広大で聖ワシリイ大聖堂は、カラフルな色合いと帽子を被せたような玉ねぎドームが可愛くて目をひきます。またクレムリンはソビエト連邦時代の政治の中枢が置かれていた場所で「城壁」の名を意味します。
クレムリンの中央にあるウスペンスキー聖堂は金色のドームが目印で、中に入るとロシア正教会のイコンやフレスコ画は必見です。また街中にあるグム百貨店は
国営の百貨店で、今で言うモールのような吹き抜けの構造で、お土産を買うのに便利です。食べ物も日本人の味覚に合うものが多く、特に本場のボルシチの美味しさにビックリしたことを覚えています。大きなホテルに行けば、和食、中華も充実していて、日本のチェーン店も進出し始めた頃なので、食に困ることはありませんでした。

 モスクワでお薦めの美術館はプーシキン美術館です。17世紀から20世紀のフランス絵画を多く所蔵していて、私の好きな画家の絵が目白押しです。
古典主義に始まり、フォービズム派、印象派、後期印象派の有名作品が沢山見れ
ます。特に印象的な出来事になるのですが、たまたま私の大好きな「マティス展」が開催されていた時があって、大興奮した記憶があります。
世界からマティスの絵が集まっていてあんなに夢心地だったのは、人生で初めてだったかもしれません。1日美術館の中でゆっくりマティスの絵を鑑賞し、
過ごした記憶があります。初期の写実の絵から晩年の切り絵まで、全て年代別に
見れました。特に印象的だったのは、明るい色彩で描かれた「金魚」や「ダンス」「バラ色の室内」などでしょうか。
エルミタージュ美術館や海外所蔵の作品も、プーシキン美術館に集められた凄さです。良い時に巡り会えました。

 次にサンクトペテルブルクでの体験をお話していきたいと思います。モスクワからサンクトペテルブルクまでは距離にして約650km、結構な距離です。義兄が
言うにはここはあえての夜行列車がお薦めだそうで、約8時間かけて移動しました。これもなかなか経験できない旅時間です。窓からの景色ものどかで楽しいものでした。サンクトペテルブルクは港町で北のヴェネツィアと呼ばれています。
 運河を巡る舟に乗り、周遊しました。
陽気なロシア民謡と踊りのステージを観ながら美しい街並みが見られ、優雅な時間を過ごしました。あーロシアに来たんだな!と言う実感が湧いた瞬間でした。
 
 サンクトペテルブルクで外せない美術館はエルミタージュ美術館です。別名、
冬の宮殿と言われています。所蔵も
さることながら建物の外観も美しく、本当に圧巻です。エルミタージュ美術館の
歴史は、1775年にロマノフ王朝の女帝エカテリーナ2世が、自分専用の王宮を建てて収集した美術品を離れに飾ったのをはじまりに、歴代のロシア皇帝が建物を
増築しながらコレクションを増やしていきました。現在では約300万点以上の収蔵品があり、世界的に有名です。
建物は冬の宮殿、大エルミタージュ、小エルミタージュ、新エルミタージュ、エルミタージュ劇場の5棟からなり、1日では見終わらない広さです。
最初に冬の宮殿の様子をお話しします。正面玄関を入ると22mの吹き抜けが
あり、階段がまっすぐに伸びていて、大理石の柱や飾り窓、金の装飾、天井画が
素晴らしいです。絢爛豪華な金の間が沢山あるのですが、なぜか重厚な雰囲気があり、落ち着きさえも感じてしまうのが不思議でした。特に孔雀石が有名で、
約2トンの孔雀石が使用された「孔雀の間」は女性なら興味のある部屋の1つです。私感ですが、パリのベルサイユ宮殿やドイツ、スペイン、イタリア等のお城と比べてみてもこのロシアの宮殿の方が興味がありました。


 エルミタージュ美術館の主な作品を挙げるとレオナルド・ダ・ヴィンチやラファエロの宗教画、イタリアルネサンス期の絵画、スペインバロック絵画、印象派以降の絵画あたりがメインになります。またラファエロの回廊が美しいです。エカテリーナ2世が、ヴァチカンの宮廷画家だったラファエロに依頼し、ヴァチカン宮殿のフラスコ画の模倣を描くよう依頼しました。回廊にも絵画がぎっしり飾られていますので、どこも芸術品で溢れています。

 最後に、私が愛してやまない宮殿、エカテリーナ宮殿、別名夏の宮殿と言われています。サンクトペテルブルクから南東へ25km離れた避暑地ツァールスコエ・セローにあります。
なぜ好きなのかは、建物の美しさはもちろんのこと、歴史的背景を知って訪れるととても興味深いからです。


 エカテリーナ宮殿はピョートル大帝が
妻のエカテリーナ1世に贈った宮殿を改修、拡張していった場所で、その後、
エカテリーナ2世は、女性皇帝として30年もの間、君臨した人物でロシア史を語る上で重要人物の1人と言えます。また美術愛好家として知られ、300人もの愛人をつくったと言われています。本当に驚きのエピソードです。3世代にわたる女帝たちが、手を加えながら建物を広げ、まるで権力を見せつけるかのような仕事振りは、なかなか昔とは言え、女性のパワフルさを感じさせるなあと思うのです。


そんな人間関係複雑な愛憎劇がありながらも、長い歴史の中で建物を広げながら
悠々と色褪せない豪華さを維持しているところ。現代にも受け継がれているところにため息が出るほど魅力を感じるのです。


エカテリーナ宮殿で1番人気の場所は「琥珀の間」でしょうか。
琥珀を壁に敷き詰められた部屋が見れます。
昔からその国の権力の大きさは、美術品を見れば一目瞭然と言う歴史があります。美術史を語る上で歴史的背景と宗教との密接な関係は外せません。また芸術家との関わり方をみれば、どれ程の富を築いた国なのか理解することができます
。その歴史背景が深いからこそロシアに対して、私の興味が尽きない理由の1つ
なのかもしれません。

 ロシアは文学、哲学、音楽、美術作品バレエの分野にわたる芸術の都ですが、
忘れてならないのは焼物文化です。
大きく分けて2つ、グジェリ焼きとインペリアルポーセリンです。グジェリ焼き
は14世紀頃、モスクワ郊外のグジェリ村から良質な白い粘土質の土から生まれた
陶器です。絵付けには鮮やかな藍色で描かれたものが主流で、約1300度の窯で
焼成します。ロシア伝統工芸品としてマトリョーシカと共に有名です。

 またインペリアルポーセリンは、1744年ロマノフ王朝時代に皇帝専属磁器工場としてサンクトペテルブルクに設立されたロシア最古の窯になります。
1925年にはロモノーソフ磁器工場として改名されました。1993年からは海外向けの製品が作られ、日本でも購入可能となりました。代表的な作風として、藍色のコバルトの網模様に金彩(22K)をあしらった「コバルトネット」が有名です。
またバレエコレクションとして、バレエの一場面を描いたシリーズもあります。
ジゼル、くるみ割り人形、白鳥の湖などロシアならではのモチーフが素敵です。
人気ブランドの磁器だけではなく、少し趣きを変えて、興味のある国の
食器文化を紐解くことで、見えなかった文化が見えてくるかもしれません。
それだけ食器文化は知れば知るほど発見があります。

 駆け足でロシアのほんの一部を紹介さ
せていただきました。少しでも参考になれば嬉しいです。
「芸術を絡めながらその国の在り方を知る」と言うことが私の今後の課題になるかもしれません。


もし、この先、海外に行く機会があればその国の芸術を勉強してから訪れたいと思っています。

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