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絵付けとの出会い

 私が絵付けと出会ったのは、もう20年近くになります。
きっかけは当時まだ珍しかった絵付け教室の広告を目にして、興味がわいたからです。都内で大きい規模の教室は、私が知る限り2校しかなく、そのうちの1校に早速体験入学を申し込みました。大都会の素晴らしい場所に学校があったので、通うのも苦にならないし、家からも遠くなかったので通えるかなと。
また、趣味の領域を超えて、講師の資格を目指しました。遊び半分の気持ちではなく、真剣に絵付けと向き合う覚悟を決めたのです。
莫大な時間とお金がかかるわけで、半端な気持ちではダメだなと真面目に捉えていました。

 幸い、体験レッスンはとっても楽しい時間でした。
1人で体験レッスンに行ったのですが、当日お知り合いになれた方々と仲良くなり、同じクラスに入学することになりました。
絵付け教室は、単位制でカリキュラムをこなし、2年終了すると次のステップに上がれるシステムでした。修了証がもらえます。
それを6年間繰り返しました。本当にまるで大学の単位習得と同じで、振替レッスンがあったり、多忙な日々の中でやりくりをして、良くがんばったなと思ってしまいます。
また大学生活のように学生になれたことも単純に嬉しかったし、新しいお友達、同じ趣味を持つ方々との交流がまたもてたことも魅力でした。6年間で出会った先生方の技術の高さも素晴らしかったし、生徒さんの作品を見て、たくさんの刺激をもらえたように思います。
6年のカリキュラムが全て終了すると、卒業試験があります。作品を作ることはもちろんのこと、講師の資格習得のためには、絵付けに関する筆記試験と実技試験があり、両方
合格しなければなりません。特に実技は基本的な筆使いのテストの他に自由作品があり、規定の白磁に自由に図案を考え、後日提出するものでした。
テーマは『花』で、制作時間も窯での焼成も時間をかけ、提出した記憶があります。
講師の試験は見事合格し、現在に至っています。私ともう一人、仲間うちで講師資格に望んだ友達も合格し、2人でさらに学校に残り1年間、別のカリキュラムを受講し知識を深めました。また、家からさらに遠い先生の個人レッスンを受けるために確か1年近く通いました。入学から8年もの歳月が流れ、私は自分で作家活動をしながら講師として独り立ちすることになります。

 話は戻りますが、もともと小さい時から絵を描くことが好きだったので、
小学生の時、放課後の絵画クラブに入り、2年生の時に油絵を初めて描き、生物画でテーブルの上に置かれたリンゴやバナナを描きました。中高も美術クラブに所属し、高校1年生の時、美術の先生に薦められて、全国の学生を対象とした公募展に作品を出すことが決まり、美術部の生徒が参加しました。号数は50号で学生には大きな作品になります。
結果は、私だけが入選し賞をいただいてしまいました。
1年生の私だけとの思いと、初めて自分の描いた絵が認められた嬉しさは特別なものでした。
この時、密かに自分の進学する方向を決めたような気がします。
大学時代は油絵を専攻し、臭いオイルと絵具にまみれながら過ごした辛い思い出があります。
大学時代は長くなるので省略しますが、幼少の頃から絵との関わりは深く、長い時間共に歩んできました。2回目の就職も画廊という場所でしたから。
だから、今の自分がいて絵付けという少し特殊な表現方法に惹かれ、勉強するというところに到ったのだと思うのです。
絵付けに出会えたことに感謝と、また仕事として関われる幸せをかみしめてこれからの生活に生かしていきたいです。

「絵付け」は特別なものではなく、実は生活に密着しているもので、誰もが目にしている文化と言えます。例えば、食器に絵が描かれているものを使用するのは日常であり、そういうものに囲まれて皆さん生活してきているのです。
お皿、コーヒーカップセット、紅茶のセット、ポット、シュガー・ミルク入れ
陶板の絵、時計、など。例えば、ドイツの名陶マイセンで例をあげれば、カップ&ソーサーだけではなく、白磁の人形などにも絵付けています。人形で有名なのはスペインのリヤドロでしょうか。人形から照明、ジュエリーなども手掛け、多様なインテリアグッズとして有名です。私が勤めていた画廊にもアンティークのリヤドロ人形があり、それはとても手のこんだもので、花籠にたくさんの花があったり、馬車を引く女の子だったり、犬や動物など生活風景を切り取ったものが魅力です。もしかしたら、このリヤドロ作品に心惹かれたのが最初かも知れません。白磁に絵付ける「ポーセリンペインティング」に注目するようになっていきます。

 生活の中に溶け込んでいる絵付け作品を見つけるのも楽しいものです。
例えば、喫茶店に行ったとして、使われているコーヒーカップや、ソーサー、紅茶のカップやソーサー、シュガーポットなどをよく見てください。チェーン店ではなく、店主こだわりの店とか、レトロな純喫茶とか、個性が光ります。
そのお店側の趣味・思考が反映されるものなので本当に面白いです。
私は大のコーヒー好きで紅茶好き、甘い物好きなので喫茶店巡りは昔から趣味の1つになっています。私がお勧めなのは、飲み終わったら、ぜひカップやソーサーをそっとひっくり返してみてください。大体ロゴなどからどこのものなのかわかりますし、飲んでいる間に想像しておくのも楽しいかと思います。もしかしたら、本物のブランドやアンティーク
のものに出会えるかも知れないし、よく見たら残念ながらレプリカかも知れません。それもまた面白いです。絵付け人はだいたい有名ブランドの絵柄を作っています。文様やデザインを学ぶためです。私もロイヤルコペンハーゲンやジノリ、ヘレンドを模倣して作品作りを経験しました。
花や葉、蝶や鳥など自然物の表現方法はとても参考になります。
その経験をしてから、今度は自分らしい表現方法の模索に没頭するのです。
私の絵付けのテーマになるのですが、デザインは自分でおこし、そのデザインを
よりシンプルなものになるよう再度デザインを直す。シンプルで余計なものを
削ぎ落としたものを目指しています。世の中でどんなものが求められているか、常にアンテナを貼っていることが大事だと思っているからです。

 私と絵付けは、きっとこの先も形を変えながらでありながらもずっと関わっていくでしょう。生活の中に溶け込んでいる絵付けなので、皆さまも少し意識をすることで、発見や気付きがあるかも知れません。
最近のお気に入りは、自分でデザインし絵付けた作品に料理やお菓子を盛り付けて楽しむことです。些細なことですが、このご時世の中、絵付けで救われています。心を豊かにできるものとしてしっかりと私の中に存在しているからです。
これからも、初心にかえって、まだまだ勉強する気持ちで、新しい絵付けの分野を広げていけたらと願っています。

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